ともだち
| 2026.02.18 更新あの人を見かけたのは、
大学生になった頃だった。
駅前のよくある人混みの中。
でも、すぐに分かった。
中学の頃、毎日のように一緒にいた友達。
高校は別々で最初は少し連絡もしてたけど、
いつの間にかそれもなくなってた。
嫌いになったわけでもないし、ケンカしたわけでもない。
ただ、生活が変わって、自然と離れていっただけ。
久しぶりに見たその人は、少し大人っぽくなっていた。
でも、
歩き方とか、立ち方とか、ふとした仕草が、
あの頃のままだった。
声をかけようと思った。
一瞬だけ。
でも同時に、思ったことがある。
なんて声をかければいいんだろう。
「久しぶり」って言えばいいのか、
それとも、
「元気?」って聞けばいいのか。
あの頃みたいに、また笑えるんだろうか。
結局、声はかけなかった。
少し離れた場所から、
元気そうだなって思いながら、
そのまま通り過ぎてしまった。
冷たかったのかもしれない。
でも話しかけなかったのは、距離を置きたかったからじゃなくて、
あの頃の関係を、あの頃のままで残しておきたかったから
なのかもしれない。
全部の再会が、言葉になる必要はない。
全部のつながりが、今に続いていなくてもいい。
遠くからでも、
元気そうだなって思えたなら、
それだけで、
ちゃんと大切だった時間は、消えてない気がした。





