日常のこと

もうログインしない人がいる

| 2026.02.03 更新

仲良しだった人が、ゲームを辞めた。

大きな宣言があったわけでもなく、
ドラマみたいな別れがあったわけでもない。
ただ、ある日を境に、
その人はもうログインしなくなった。

フレンドリストの中には名前が残っていて、
最後に見た場所も、
たぶんいつもと同じだった。

それが余計に、現実味がなくて。

「引退したらしいよ」
そう聞いたとき、
分かったような顔をしながら、
少しだけ胸の奥が静かになった。

寂しい、と言うほど大げさじゃない。
でも、
何も感じないわけでもない。

一緒に遊んだ時間は、
毎日連絡を取り合うほど濃くはなかったけど、
確かにそこにあった。

同じ場所に集まって、
同じ時間を過ごして、
名前だけで通じ合っていた。

それが、
ある日を境に終わる。

引き止めるべきだったのか、
何か言うべきだったのか。
正解は分からない。

でも、
無理に繋ぎ止めるのも違う気がして、
結局、何もしなかった。

きっと、その選択が正しかったかどうかも、
もう確かめることはできない。

ただ、
分かるのはひとつだけ。

もう会えなくても、
一緒にいた時間が消えるわけじゃない。

ログアウトしないまま残った名前を見るたびに、
少しだけ、そのことを思い出す。

それでいい気がしている。