日常のこと

いつもの通学、通勤の道。

| 2026.02.21 更新

いつもの通学、通勤の道。

何も考えなくても歩ける道。

信号のタイミングも、
どこに水たまりができやすいかも、
なんとなく体が覚えている。

景色はもう、
“見るもの”じゃなくて
“通り過ぎるもの”になっていた。

ある日、ふと思う。

少しだけ、違う道に行ってみようか。

理由はない。

急いでいるわけでもないし、時間に余裕があるわけでもない。

ただ、

ほんの少しだけ曲がってみる。

見慣れない道は、少し静かだった。

初めて見る家の玄関先に小さな花が咲いていた。

名前は知らないけれど、ちゃんと季節に合わせて頑張って咲いている。

パン屋の前を通ると、ふわっと甘い匂いがした。

こんな場所にあったんだと、今さら知る。

同じ街のはずなのに、知らない時間が流れていた。

誰かの朝があって、
誰かの生活があって、
誰かの当たり前がそこにある。

気づけば空の青さが少し違って見えた。

雲の形がこんなにきれいだったことを思い出す。

いつもと同じ場所にいるのに、世界はまだ知らない顔を持っていた。

変わったのは、街じゃない。

ほんの少しだけ、自分の選択だった。

大きなことを始めなくても、

遠くへ行かなくても、

人生は、

一本の道を変えるだけで、少しだけ呼吸がしやすくなる。

また明日から、同じ道を歩くかもしれない。

でも、

“他の道もある”と知っているだけで、少しだけ気持ちが軽くなる。

新しい道は、

遠くじゃなくてすぐ隣にあった。