言葉のこと

名前もしらない知り合い「縁」

| 2026.02.25 更新

話したことはないのに、知っている人がいる。

毎朝、同じ電車に乗っている人。

決まってドアの近くに立って、スマホじゃなくて文庫本を読んでいる。

雨の日は少し早く来る人。

夏になるとペットボトルを持っている人。

名前も知らないし、
声も聞いたことがないのに、

なぜか「いつもの人」として自分の中に存在している。

たぶん向こうも、

こちらのことをなんとなく認識している。

視線が一瞬だけ合って、

軽く会釈するほどでもない、
でも完全な他人でもない、

あの曖昧な距離。

不思議だなと思う。

人生で関わるはずのない人と、

同じ時間に、
同じ場所に、
何度も居合わせている。

もしかしたら、

こういうのが縁のはじまりなのかもしれない。

大きな出会いじゃなくて、

ただの繰り返しの中にある、
小さな重なり。

会話もないまま、

今日も同じ車両に乗る。

それだけの関係。

でも、

それだけじゃない気もしている