猫とわたしと世界
| 2026.02.26 更新最近、ちゃんとご飯を食べた記憶がない。
食べてないわけじゃない。
ただ、時間が来たから食べるんじゃなくて
空いた時間に流し込むみたいな日が続いていた。
今日もそうだった。
やることに追われて、
気づけば夕方。
帰る前に、少しだけ座りたくなって
公園のベンチに腰を下ろした。
癒されたいとかじゃない。
ただ、立ち止まりたかっただけ。
頭の中では
「次はこれ」「明日はあれ」って
まだ仕事が続いている。
ぼーっとすることにも少し罪悪感があるような感覚。
そんな時、足元に気配がした。
小さな子猫。
鳴きもしないでただ、こちらを見ていた。
逃げるでもなく
近づいてきて、足元に座る。
そういえば、猫が好きで
バッグにチャールを入れっぱなしにしていたのを思い出す。
何となく差し出してみると、
子猫は少しだけ食べた。
夢中というほどでもなく、でも、確かにお腹は空いていたんだろう。
ふと、子猫が顔を上げる。
食べるのをやめて、どこかを気にするように振り返った。
その先に、母猫がいた。
少し離れたところから静かに見守っている。
迎えに来ていたのだ。
子猫は残りを気にすることなくすっと母猫の方へ向かっていった。
その姿を見ながら、思う。
あぁ、ひとりじゃなかったんだ。
助けたわけでもない。
何かをしたわけでもない。
ただ、少しだけ
時間を一緒に過ごしただけ。
それでも、
ちゃんと帰る場所があって
迎えに来る存在がいる。
世界はちゃんと回っていて、守られるものは守られているんだなと思った。
自分が全部なんとかしなくてもいいのかもしれない。
そんなことを考えながら、ベンチから立ち上がる。
夕方の空は、来た時と同じ色のままだった。





